はじめに

 2015年4月、私は生活の変化に対する若干の不安を抱えながら、新しい出会いと自己成長の場としての期待を持って武生青年会議所に入会をしました。しかし入会したからすぐに自身の何かが変わるわけではなく、しばらくは社会の出来事も対岸の火事であり、月日が経ち青年会議所運動の理解ができても周りの出来事は他山の石として捉え、何の行動にも移さない自分がいました。
もし自分の周りにジブンゴトという円が存在するのであれば当時の私にはその円の半径はあまりにも小さく、その中には限られた仲間しか入れていなかったのだと思います。そんな私にとって武生青年会議所は社会の知識や見識を養うだけではなく、胆識を身に付けるステージでもあり、いつからか身近な人達だけではなくまだ見ぬ人達のためにも自分事として考え、動き出すようになっていました。
「我々の運動は誰の涙を拭い、誰の笑顔を支えているか」
昨今は新型コロナウィルス感染症、異常気象による災害被害などメディアの中だけではなく、私達のすぐ近くにも脅威があることを感じている人も多くいます。その中で身近な人が被害を受け困っているところを見過ごす人は中々いないでしょう。ただこれから起こり得る問題、つまり武生青年会議所が近い将来の地域の危機に立ち向かう運動の先には、誰の顔が浮かんでいるでしょうか。自分でしょうか、家族や社員や友人でしょうか、はたまた近所の名前も知らない子供でしょうか。ジブンゴトの円の大きさは人それぞれでも武生青年会議所という単位では我々の活動地域以上に円は拡がり、運動を波及させられると信じています。混沌とした社会情勢の中、この地域に希望をもたらすための起点となるには、綺麗な文章で書かれている机上の計画ではなく、真の笑顔をもたらす地域課題の解決に向けた実行力を発揮する必要があります。JAYCEEとして誰よりも郷土を愛し未来へ繋ぐ「えちぜん」を創造することが、この地域の明るい豊かな社会を実現する礎になると信じて、私達は大切な人達のために覚悟を持って前へ進むしかない。その道はすぐ前にひらけているのです。

まちの未来を信じる力

 未だ収束の見えない新型コロナウィルス感染症は、まさに経済、そして人類にとっての危機であり、私達の活動エリアにおいても2024年に開業を控える北陸新幹線による経済効果への好期、そして今後の人口減少にも打開策が見出せない状態が続いています。しかしリーマンショックや東日本大震災のような過去を振り返ってみても、危機はイノベーションを加速させそれを機会と捉え行動を起こしている企業、団体、行政があります。では昨今のコロナ禍はどのような変化やイノベーションをもたらしたでしょうか。身近な一つの例はデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速です。オンライン教育やオンライン遠隔診療、新しい働きかたへのシフト等、コロナ禍によってこの先10年で起きると考えられた変化が一気に起きたと言っても過言ではありません。私達が住み暮らす1市2町でも時代は常に進んでいるからこそ従来の集合型まちづくり事業による一過性の効果のみに目を向けるのではなく、我々が思い描く誰もが帰りたくなる地域愛溢れるまちの未来を信じ、バックキャスティングという視点から住み暮らす地域に存在する課題を財産として価値を見出せるよう行政や他団体を巻き込んだ社会変革型の運動を展開していきます。

社会を変革するリーダーの育成

 「課題先進国」の日本において我々が住み暮らす地域も同様に人口減少、少子高齢、貧困等々の課題に直面しています。そのような社会課題解決を仕事とするソーシャルビジネス、いわゆる社会起業家も日本には数多く存在します。以前であれば、社会起業家は社会問題を解決し、企業は利益を追求するという対極ともいえる距離がありました。しかし地域も企業も持続可能性を重視する現代だからこそ、社会の困り事を自分事として解決したいという道徳性とそこに新しい需要や価値を見つける収益の探求は切り離すことはできません。今後ますます社会全体の企業の存在意義が利益の最大化だけではなく企業価値を高めることにシフトしていき、地域の課題とビジネスを両輪として、社会課題の解決と経済成長の両立を目指すことが真に持続可能な地域を創り上げると信じています。その為にはこの地域で事業を行う青年経済人が、地域の課題について自己犠牲でもなくボランティアでもない課題解決の在り方についてビジネスを通して見つめ直し、地域を牽引する実行者としてのリーダー研修を推進します。

未来の創り手となる青少年の育成

 今や誰もが多様な情報を受発信できる時代となり、私たちの生活における利便性は大きく向上しました。しかしデジタル端末は使う者の思考を経ることなく簡単に答えを導き出してくれる道具ではなく、あくまで情報の収集や分析に有用なツールに過ぎないことを意識しなければなりません。この情報過多社会とも呼べる現代においては利便性とは裏腹に、現実での他者の心を推しはかる力の成長を阻害し、人間の本質を見極める情報が貧困化しています。特に判断能力の拙い青少年は生まれたときからテクノロジーに接し、人との出会いやコミュニケーションもネット上で行なうことに抵抗が少ないがために、直接の対人関係においても対話や議論ができない青少年が増えているといった問題があります。青少年達が氾濫する情報に惑わされず自らの考えで進むべき道を切りひらくために、社会の中で自立して他者との関わり合いを持ちながら生き抜く力を育むこと、さらにこのように現代特有の課題や学校教育でのカバーが困難な領域については青少年のみならず大人もともに学び、地域の課題解決を担う未来の創り手となるよう成長できる青少年育成を行います。

より良い変化をもたらす同志とともに

 組織にとって同志が集まる時代から集める時代に変化をした今、何故、私達は会員拡大を行わなければならないのでしょうか。会員がいないと事業が実施できないから、会員が増えなければこの地域から武生青年会議所が消滅してしまうから、もちろんそれらもありますが我々青年会議所は組織のMissionである「より良い変化をもたらす力を青年に与えるために発展・成長の機会を提供すること」を使命としています。地域の課題に対して誰よりも主体的に考え行動を起こすことができ、地域の継続的な発展に寄与する人財へ成長する、そのような人財が1人よりも10人、10人よりも100人と多ければ多い程に社会へ向けてインパクトを起こす大きなエネルギーとなります。また新たな仲間は、会員や組織に新たな価値観や刺激をもたらし、組織の活性化に繋がります。2027年までに100名LOMを目指す武生青年会議所は1年に平均16人の新規会員が必要です。地域、組織、個人にとっての会員拡大の意義を理解し、自分事として会員一人ひとりが意識を高め、100名LOMに向けて組織一丸となって会員拡大を進めていきます。

JAYCEEとして、ひととして

 青年会議所は「奉仕・修練・友情」という三信条の下、年齢、性別、経験等が異なる会員が集い多様な価値観に溢れています。多様性を謳う時代だからこそ、その価値観の是非が組織としてのコンプライアンスに関わることも多くあります。もちろん運動の「やり方」も組織の「作り方」「動かし方」も時流によって変化を受け入れないと時代にも人にも置いていかれるのは言うまでもありません。しかし武生青年会議所で学べるひととしての「在り方」は時代によらず私達青年世代がどのような組織よりも誇れる価値観ではないかと感じています。JAYCEEとして、ひととしての器を磨くことに自己投資をできる限られた時間をどのように過ごすかは会員一人ひとり次第、そしてそのチャンスはすぐ傍にあるのです。
「JCという道具をどのように使うか。」
JCは地域にとって未来を示す標であると同時に、JAYCEEにとってこれからの人生での糧、そして使い方次第ではJCという杖は転ばぬ先の杖にも魔法の杖にもなります。地域を明るく照らし導く私達だからこそ、自分達が決めたことに向かって決して諦めることなく「素直さ」と「向上心」を持って仲間と共に武生青年会議所で運動を続けていきましょう。

おわりに

 予測できない速度で変化し続ける世界、時に私達は目に見えない不安や恐怖に直面することもあります。先の見えない現代で、どんなに個人のスキルが高くても自分達の運動が「誰のためになっているのか、何のためになっているのか」という想いが無ければ周りの賛同や協力は得られずに思うような活動はできないでしょう。また「スキル」や「想い」がありそれらを両輪として前へ進んでいても、「自分達がどこにいるのか」「どこを目指しているのか」という全体感が無ければ我々が目指す目的地までの道のりは紆余曲折で期待する成果は上げられないでしょう。しかし私達にはどんな時でも未来での 「どうありたいか」「どうあるべきか」を考え続けたビジョンがあります。自分達が決めた「ひとと地域を繋ぎ、未来へ繋ぐ故郷えちぜんの創造」を、誰かがやってくれると待つのではなく、武生青年会議所会員である我々が変革の起点となって突き進みましょう。決して諦めず、信じる想いを行動に変えて。


基本理念

~未来志向~

地域と自分の未来を描き、希望と笑顔を与えるリーダーであれ


基本方針

関わる全ては自分事、誰かの顔が浮かぶ運動をしよう

まちの未来、仲間と自分の可能性を諦めずに信じて進もう

「素直さ」と「向上心」を持ち続けるJAYCEEになろう